<Rainny Like>
ある日、ある時、あの場所で
少しだけ強い雨が降る中、彼女は傘も差さずに立ち尽くしていた
「どうしたの?」と問う僕に、彼女は
「私、失恋しちゃった」と言って、声を押し殺して泣き出した
彼女が泣き終わるのを待つように雨が止むと彼女は空を見上げた
「雨、止んじゃったね」
そう言う彼女に相槌を打つと、彼女は寂しい笑顔を浮かべて僕を見た
「私、雨が好きなんだ」
意外な言葉におどろく僕を見て、彼女はもう一度空を見上げた
「雨が好き
周りを気にせず泣けるから
全てを雨のせいにして泣けるから
心を空にして、涙を洗い流してくれるから
そして神様が私の代わりに泣いてくれる気がするから
だから私は雨が好き」
そう言う彼女は少しだけ元気を出して声を大きく出した
「明日、いい天気でありますように!」
彼女の言う「いい天気」が何かはわからないけど
彼女に言う通り、いい天気でありますように