<いざよい>
十五夜過ぎた次の夜
十六夜見上げた君の顔
不思議と名残りを持たない君に
僕はいくつも不思議を声出す

「さみしくないの?」
そう問う僕に
「何がさみしいの?」
君がそう返す

「これから月が欠けてくよ」
そんな僕の気持ちを
「これから新しく満ちてくよ」
君の言葉がけとばした

暗幕降りた舞台の上で
夜月の優しい光が灯る
自然がまよわずつくり出す
そんな自然のプラネタリウム

秘かな星と優しい月の
光がまぶたにやきついた
十五夜終わった次の夜
新月待たずに君が言う

「満月が終わったなんてさみしいよ」
「次の満月がこれから始まるよ」
「月が欠けると思うから」
「十五夜ばかり見たがるよ」

君が浮かべた笑顔の前で
僕は不思議と目を閉じた
不意に吹いた風の音
僕の声がかさなった

風にとけたその声と
夜にかくれた小さな想い
ひろいあげる君の手の
そんな仕種が心を揺らす

いつも前を向くその君が
僕の手を抱きしめた
ギュッと握る僕の手に
「好き」の単語がいすわった

「I Love You」よりたくさんの
「I Like You」が心にしみる
今も見上げた十六夜に
となりの君が笑顔くれたよ