<If……>
「さようなら」
君からそんな言葉を聞いた日に
「もう一度」
僕は胸をかざるコサージュを手に取った
「次の春」
不思議そうに首をかしげるその顔に
「君が僕を好きだったら」
僕はそれを手渡した
僕が次の世界にふみ込んで
君が次の階段を昇り出す
一度は離れたその距離を
僕は何度もふり返る
「もし君に会わなかったら」
それが一つ目に浮かぶ
もし君がいなければ
今の僕はいなかった
「もし君と言葉を交わせなかったら」
二つ目に浮かんだその想い
もし君がいなければ
今の僕は無様だった
「もし君に出会えないなら」
三つ目の言葉に立ち止まる
もし君がいないなら
次の僕は思いつかない
「もし君に言えなかったら」
四つ目の不安がふとよぎる
もし君がいないなら
次の僕には色がない
君がすごす次の年
僕が通る次の世界
君が出会う次の四季
僕がふり向く次の過去
次の春が待ち遠しくて
次の春がこわくなる
次の春を待ちわびて
次の春を拒絶する
もう一度君と出会えるその奇跡
もう一度君と話せるその希跡
もう一度僕は過去を見て
もう一度僕は先を見た
「簡単ですよ」
そんな僕に言葉をくれた
「きっと、絶対、会えますよ」
そんな君が勇気をくれる
「次の春」
君がくれた普通の言葉
「私はきっと好きだから」
君に言わせた僕の心
「次に会えるその時は」
僕は精一杯の声を出した
「僕から君を見つけるよ」
僕の言葉に君がほほ笑んだ