<独占欲>
小さな気持ちを綴った手紙
「あなたに出会えてうれしかった」
そんな一文にこめたこの想い
あなたの中に残りますか

私の心に残った想いを詩に込める
「いつもいつも幸せのくりかえしだった」
そんな言葉でさえも小さくて
あなたの底に残りますか

きっとあなたに届けないこの心
「やっぱり直接渡そう」
そんな決意で目を開く
あなたの内に残りますか

面を向けるといつもの笑顔
「私の世界はあなたでつくられた」
そんな間違いを口にする
あなたの世界に残りますか

きっとあなたは笑うでしょう
「君の心は不思議だね」
そんな声に耳を傾ける
私の中に残っています

あなたがくれた小さな返事
「君の想いは知ってるよ」
そんな言葉を意識する
私の底に残っています

少し照れたあなたの横顔
「一度だって忘れていないよ」
そんな気持ちに自分を疑う
私の底に残っています

ふいに見せた真面目な視線
「君を想う気持ちは代えられない」
欲しがっていたその心
私の世界に残っています

私があなたの中に残っているなら
あなたの中に私が残るのならば
私はきっとあなたさえ考えない
あなたの心を一人占めしたい

焦がれる想いも燃える心も
いつもあなたに残りたい
あせる気持ちも急ぐ世界も
全てあなたに刻みたい

「私の全てあなたにゆずります」
そういう言葉の裏側は
「あなたの全て私にください」
きっとそんな独占欲です

だからきっと届けない
だから私は届けない
あなたの全てが好きだから
あなたの全てを受けとれない

矛盾した想いを内に秘めて
私の独占欲に鍵をかける
それがきっと正しい
私の愛のあり方です