<思い出箱>

二人で見たいと言い出して
君と探した夢の切れ端
古い倉庫の奥底で
見落としていたこの小箱

君が見つけた小さな鍵と
私がふれた大きな錠前
それが合図と気付かずに
二人でそこをすり抜けた

二人で分けた鍵と錠
君が見つけた小さな鍵で
私のふれた大きな錠が
カチリと小さな声を出す

小さな箱の中身には
色々な想いであふれてた
小さな箱の名札には
「思い出箱」と書かれてた

君だけ手にした小さな真実
私だけが見つけた小さな真理
二人で顔を見合わせて
「せーの」で一気に見せあった

不思議な程に自然な形
不思議な位違う色
それでもぴったり重なって
綺麗なまでの万華鏡

夢の欠片と夢の欠片
それが一つの欠片になって
新しい夢が生まれても
新しい名札には「思い出箱」が書かれてる

いつもと同じ形をしていても
いつも違う色を映してる
新しい万華鏡を探そうと
一度だけ背を向けた

私の声が「見つけたの?」と出した時
君の声が「見つかった」と答えてた
私の手にはガラスの欠片
君の手には木の欠片

二人で顔を見合わせて
二人で笑顔を浮かべたら
二人で見つけた「思い出箱」を
二人で一緒に鍵開ける

新しく開いた箱の中
けんかばかりの毎日が
嫌になる程入ってるのに
不思議な位自然だった

「これも思い出だよね」
そう言う私に
「これも思い出だったね」
君はそう答えてくれた

次に見つける「思い出箱」に
新しい名前を付けるとしたら
次の名札に書かれる文字は
やっぱりきっと「思い出箱」だね